社内研修会報告 ~「認知症の理解と認知症の人への対応」について~

今回の研修は、「認知症」を医学的要素ばかりで見ず、患者さまの「行動」を知る事、そこから私たちのとるべき「行動」を考える事で、患者様への適切な「行動」を身につけようという試みの研修でした。

 

超高齢化社会を迎える時代にとって、慢性疾患と同様に認知症への理解が必須なっています。疫学的に現在約462万人が認知症であり、高齢者人口の約15%が認知症だという。

約10年前は百数十万人だったのが倍以上の増加になっている事実もあり、私たちがどうその現状に向き合うかを考える必要があります。

患者様の症状は、生い立ちや中核・周辺症状の混合状況一概ではないので、治療に関しては、家族等の近しい者が、いかに早く変化に気づいてやれるかが治療の進行に関わってきます。

 

中盤、若年性アルツハイマー患者紹介を実際の映像で見させて頂きました。

文書やドラマなどでは見聞した事がありましたが、一般的に働き盛りである50代の患者が、日常の生活が困難どころか介助が無ければトイレすらもできないという状態があり、それを観て改めて驚きを感じました。

様子の中ではトイレの仕方を分からなく困っている患者に対し、妻がトイレの枠に色テープを張り促します。それを見た患者は怒りを示し、妻を責めます。

患者の為に良かれと思って施す事も、患者にとっては「自尊心」を傷つけることになる。

この状況が理解できたと同時に、私の過去の業務でも、良かれと思いそれと同じ事を行って患者に不快な思いをさせた事が有ったな…と改めて気付かされました。

 

20130926写真①

 

認知症の方は記憶を失ってはいても、人格がしっかり有り感情は豊かに生きている。

これが分かれば、患者さんの状態に合わせた関わりができる事を「接し方」の紹介で学ぶことができました。

 

後半は、ケーススタディによるSGDにより学びを深めます。

実際よくある服薬指導風景を映像で観て、患者の発する訴えについて薬剤師としてどう接するべきかを考えました。

出てきた意見では、

「前回の自分たちに落ち度が有り、伝えきれなかった事があったかもしれない」

「調剤過誤が有ったかもしれない」

「同居している家人との確認作業には配慮が必要」

など、患者の立場で考察している様子が伺え、患者の自尊心を尊重することに配慮した発表が挙がっていました。前半の認知症患者の心の中を学び理解できたからこその結果だと思います。

 

20130926写真②

 

認知症の方に対し、心の中で「呆けちゃって…」という雰囲気を出しながら接すると、患者自身実際そうであっても不満や苛立ちがつのるもの。

今回の研修では、認知症の方に対してだけではありませんが、患者に何が起こっているのか、どんな気持ちで暮らしているのか、どんな支えが必要なのかを理解する必要が有ることを学び、我々がどう行動すべきか学ぶことができたと思います。

 

今回研修で情報提供して頂いたエーザイ様、ありがとうございました。

 

卯尾

2013.10.12