海外(米国)研修報告2010 その3
『ワシントン州立大学』
メドコ社のダン・ダニエルマネージャーによるメールオーダー薬局の説明と
医療保険制度の中で「PBM」(PharmacyBenefitManager)という組織
団体が存在することを学習した。
PBMは保険提供者を顧客とし、全ての患者情報を所有し複雑な保険制度の中で、
薬局に対する請求処理に関与し、保険支払いがスムーズに行くように保険会社と
調整を図る。また製薬メーカーからは薬剤購入の交渉を行い、ジェネリック薬を薬局
へ推進したりして、医療費を抑えるツールを全自動システムで運営している。
この概念は日本には全くなく理解しがたい。
またこの組織がメールオーダー薬局を運営していると聞きさらに驚くばかりである。
ラスベガス郊外に展開するメールオーダー薬局のmedco社には、
この研修の後半に訪問するが、撮影禁止で薬局内の映像なし。
我々が日本人として初めて見学できました。
なんと、東京ドームほどの大きさの薬局!!!
もはや薬剤工場としかいいようがありません!
2 3日で、空港便で全米に空輸する。
『ノースシアトル コミュニティカレッジ』見学
日本にはない、「テクニシャン」というライセンスを取得するための専門学校。
1970年代から存在し、入学すると9ヶ月で、基礎的な計数調剤のための
数学、法令、薬理、レセコン入力などを学習する。また在学期間中
2箇所で実務実習を432時間行い、試験を受けてパスしなければならない。
国の制度としてテクニシャンの需要は高まっており、病院勤務は
最も福利厚生も厚く人気が高い。
テキストを拝見したが、とても9ヶ月で習得できるような内容ではない気が
しました。
また、輸液の無菌調整や保険制度まで学習するため、
日本の薬剤師の行うレベルに近い気もしました。
『BARTELL DRUG』見学
日本人の米国薬剤師ミユキさんがいらっしゃったため、今まで体験した医療制度や
薬剤師の実像をしっかり、日本の風土を知っている立場から説明していただきました。
やはり現場では、いろんな問題をかかえ、トラブルを解決し、必死に勤務をされて
いるようです。
まず、米国医療制度が破綻寸前で保険会社からの支払いも本当に厳しくなっている。
薬剤師1人(年間給与1000万円以上)に対し、調剤業務をほぼ全て行うテクニ
シャン(年間給与350万円以下)を2人まで配置できるのも・・・薬剤師の大きな仕事が
コスト削減のため保険会社と調整を図る事も、忙しい医師の負担を軽減し、そして1年
に1回のDrの診察とリフィル処方で管理し、チェックする体制も全て医療費削減のため
と感じます。
一部の裕福層には手厚い医療がありすばらしいが、全体を最適としようするならば、
この米国の医療制度は複雑で日本人には適合しないのではと改めて感じました。